第2回
『スカイコート学生
プランニングコンペ』
結果発表
[ 課 題 ]
「心と身」“ココロ” と “カラダ”から考える居住空間
~変化し続ける都市において、わたしたちの心と身を守る建築とは~
選考結果について
この度は、「第2回スカイコート学生プランニングコンペ」にご応募をいただき誠にありがとうございます。応募数は予想をはるかに超えるものとなり、また、ご応募作品はとても優秀なものが多かったため、今回は「特別賞」および「D-color賞※」を追加で設けさせていただきました。
※D-color : ゲスト審査員・髙橋大輔選手がトータルコーディネーターを務めるスカイコートとの共同プロジェクト
最優秀作品変更のお知らせ
4月28日に当サイト内で各受賞者の発表をいたしましたが、最優秀作品につきまして応募者ご本人より受賞辞退の申し出がありましたため、主催者として検討した結果、申し出を受理いたしました。
これに伴い審査員による再審議を行いましたので、改めて入賞者の方々を発表させていただきます。
【全体講評】
第2回となった今回のコンペは、昨年の応募数を大きく上回り186点の応募がありました。
多様性を広く受けとめようと様々な価値観が広がっていく現代社会にあって、今回のテーマである「心と身」という建築における根源的な問いかけが、どのように展開されるか期待していました。集まった案を通して総じて言える事は、その回答を人と人、人とコミュニティとの関わりの中に求めた提案がとても多く見られました。
そこから浮かび上がってくるものは、ひとりの内に向かう場と、他者あるいは社会と、または外部との関係は如何にあるべきか、提案者各々が意図する生活のあり方や思いを如何に実現すべきかという方法に収斂されているようでした。今の社会がそうであるように、このコンペに於いても、広くその意図と方法の可能性を議論することができました。今後、こうした眼差しをより多くの人と共有できれば、なお素晴らしいと思います。
一方で、建築単体で価値実現を計ることにとどまった案も多く、都市や周辺環境との相互の関連性のなかでの存在する人や生活、そして建築へと解かれていく回答がより多く見られるとなお良かったと思います。
入賞作については別に選評を示しますが、今回は惜しくも選外となりましたが、最後まで「十家十色」「住まいの砂時計」については議論の対象となっていたことを記しておきます。また、その他にも様々な可能性や共感を集めた作品が多くありました。全ての作品、応募者の熱意ある姿勢に、関係者を代表し改めて敬意を評します。こうした思考と施行の繋がりが、少しでも豊かな街の成り立ちに寄与していくことを願っています。
河野有悟建築計画室代表
河野 有悟
大竹 平さん
京都大学
工学部建築学科3年
【作品講評】
建築は人が存在する場と外界とを分節し、繋ぎ合わせることから始まる。とすると、この案は、その方法に向き合い、人の振る舞いを通して変化する、様々な心身の距離に自在に呼応できる場を志向しています。幾種類の全く異なる素材による空間分節。また、プライバシーを保つコア、床のレベル差や壁に開口を穿つあり方など、様々な空間構成による分節方法を混成させた巧みな空間の展開に、個々人とコミュニティを包含する建築の可能性が示されていました。
【作品講評】
建築は人が存在する場と外界とを分節し、繋ぎ合わせることから始まる。とすると、この案は、その方法に向き合い、人の振る舞いを通して変化する、様々な心身の距離に自在に呼応できる場を志向しています。幾種類の全く異なる素材による空間分節。また、プライバシーを保つコア、床のレベル差や壁に開口を穿つあり方など、様々な空間構成による分節方法を混成させた巧みな空間の展開に、個々人とコミュニティを包含する建築の可能性が示されていました。
加藤 優作さん
芝浦工業大学
建築学部3年
【作品講評】
この案は幾つかの小さな家が、もう一回り大きな家に覆われたことから生まれる余白のような空間に人の安寧を求めています。それは、ひとりの住まう場は小さくとも、部屋というよりは、まさに家であるが、社会の成り立ちがそうであるように人も家も単独では存在し得ない。ある集まりや纏まりの単位の中に、個々の距離感を孕んで相互の関係の中に成立している。余白ように生まれた場にこそ、そうした営が育まれるというという事が実感もって示されていました。
【作品講評】
この案は幾つかの小さな家が、もう一回り大きな家に覆われたことから生まれる余白のような空間に人の安寧を求めています。それは、ひとりの住まう場は小さくとも、部屋というよりは、まさに家であるが、社会の成り立ちがそうであるように人も家も単独では存在し得ない。ある集まりや纏まりの単位の中に、個々の距離感を孕んで相互の関係の中に成立している。余白のように生まれた場にこそ、そうした営が育まれるというという事が実感もって示されていました。
橋本 唯さん
芝浦工業大学大学院
理工学研究科
建築学専攻 修士1年
【作品講評】
個人の為の一つの住空間にアプローチした作品で、明るさを獲得することに傾倒する現代の住まいでは、裏を返せば、魅力的であった静謐な暗闇までも失ってしまっていた事に気付かされます。暗さや闇の意義を問い直すこの提案によって、小さな場が、光と闇の連続的な変化によって心理的にも物理的にも深く奥行ある場へと昇華されているようでした。そしてその暗闇が同時に、光の存在意義や美しさを逆説的に強く示していました。
【作品講評】
個人の為の一つの住空間にアプローチした作品で、明るさを獲得することに傾倒する現代の住まいでは、裏を返せば、魅力的であった静謐な暗闇までも失ってしまっていた事に気付かされます。暗さや闇の意義を問い直すこの提案によって、小さな場が、光と闇の連続的な変化によって心理的にも物理的にも深く奥行ある場へと昇華されているようでした。そしてその暗闇が同時に、光の存在意義や美しさを逆説的に強く示していました。
尾上 玲央さん
足利大学
工学部創生工学科
建築土木分野 建築学コース 3年
【作品講評】
すべての作品のクオリティーが高く、様々な発想に驚かされました。その中でも僕が目を惹かれたのはこの作品でした。
1軒屋の集まりのような集合住宅で、平面でなく上に伸びながら、階ごとにテイストの違う空間を組み合わせ、上の階に川が流れ、橋がかかり… 既成概念を捨て、現時点では非現実的ですが、いつかこんな集合住宅が存在してほしいと夢見る自分がいました。
自分の時間と外の時間、両方を重んじて心と身体を豊かにする。そんな意図が読みとれ、日常生活の中に自然や人との交流・コミュニケーションの場がありながら、大切な生活空間(住居)はしっかりと確保し、プライベートも配慮されているという点もこの作品を選ばせていただいた理由です。
D-colorトータルコーディネーター/アイスダンス 髙橋大輔選手
【作品講評】
すべての作品のクオリティーが高く、様々な発想に驚かされました。その中でも僕が目を惹かれたのはこの作品でした。
1軒屋の集まりのような集合住宅で、平面でなく上に伸びながら、階ごとにテイストの違う空間を組み合わせ、上の階に川が流れ、橋がかかり… 既成概念を捨て、現時点では非現実的ですが、いつかこんな集合住宅が存在してほしいと夢見る自分がいました。
自分の時間と外の時間、両方を重んじて心と身体を豊かにする。そんな意図が読みとれ、日常生活の中に自然や人との交流・コミュニケーションの場がありながら、大切な生活空間(住居)はしっかりと確保し、プライベートも配慮されているという点もこの作品を選ばせていただいた理由です。
D-colorトータルコーディネイター/アイスダンス 髙橋大輔選手
審査員紹介
河野 有悟
河野有悟建築計画室代表/武蔵野美術大学非常勤講師/東京電機大学非常勤講師
東京生まれ。武蔵野美術大学卒業後、早川邦彦建築研究室勤務、武蔵野美術大学助手を経て、2002年に河野有悟建築計画室設立。集合住宅、住宅を中心に様々なプロジェクトを手掛け、国内外にメディアに作品を発表。これまでグッドデザイン賞13件受賞をはじめ、東京建築賞3件、JIA優秀作品選4件、日事連建築賞優秀賞、日本建築士会連合会賞、AACA芦原義信賞、建築学会作品選集、他受賞多数。
松寿 章
株式会社松寿設計コンサルティング一級建築士事務所/一級建築士、宅地建物取引士
東京生まれ。芝浦工業大学工学部建築学科卒業後、芝浦工業大学大学院建設工学専攻修士課程修了。2000年に有限会社松寿設計コンサルティング一級建築士事務所設立。2005年まで芝浦工業大学工学部建築学科の非常勤講師を勤める。NPO法人江戸城再建を目指す会会員。学校法人の設計も手掛ける他、近年では集合住宅、ホテル、リゾート別荘、保養所を中心に設計・監理を行っている。
岡村 正樹
岡村正樹建築設計事務所/一級建築士
静岡生まれ。高校3年の夏、受験勉強の合間に本屋で建築の写真集を立ち読みしたことをきっかけに、千葉大学工学部建築学科に進学。卒業後2つの設計事務所にて実務経験を積んだ後、2010年に岡村正樹建築設計事務所を設立。設計事務所勤務時代は個人住宅・集合住宅・店舗等の設計・デザイン監修に従事。独立後は人を包み込む空間の設計を目指し、多角的な視野を大切に、街と繋がった活動の展開を試行中。
藤原 茂
スカイコート株式会社 副社長/一級建築士・インテリアプランナー
東京理科大学工学部第一部建築学科卒業、東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻修了(工学修士)。その後、オフィスビル・マンションデベロッパーの建築設計部、大手ハウスメーカー特建事業部勤務等を経て、1998年にデザイン住宅を設計・施工する一級建築士事務所を設立。これまでに自ら設計・施工を手掛けたデザイン住宅は380棟を超える。2015年7月よりスカイコート株式会社の経営に参画し2019年10月より現職。
髙橋 大輔
岡山県出身/フィギュアスケート アイスダンス選手
2018年スカイコート株式会社創立50周年を記念し、D-colorプロジェクトを発足。自宅の改築経験を活かし、同プロジェクトのトータルコーディネーターとして就任。2019年新築マンション“スカイコートD-iberte浅草”が完成。2020年にはフルリノベーションしたマンションの一室(1R)が完成。
(敬称略 / 五十音順)